【#誰そ彼夢葉書】めまい【#妖精の舞うところ】

Twitterの企画。
#リプした人ほぼ全員夢小説にする
#誰そ彼夢葉書


軽い目眩を覚えて息を吐く。
季節の変わり目はいつも辛い。気圧の変化も、気温の変化も、手心を加えるという言葉を知らない。急激に下がった気温に手を擦り合わせて作業は一時中断となった。少し横になって目を瞑る。
ぽよん、というメッセージアプリによって半ば落ちかけていた意識が浮上する。あともう少しで落ちきるところだったのに、と恨みがましくスマートフォンを見れば、少しだけ心が浮ついた。


「今暇?」
「暇じゃないです、体調悪くて。」
「今日は二日酔い?気圧?」
「なんで先にそっちが来るんですか。」


画面をぱちぱちと指で弾いて意志を伝える。浮ついた心がまた更に浮つくのを感じる。


「明日のデートなんだけど、場所変えたくて。」


すとん、と浮ついた心が落ちる。これは落胆ではなくて、どちらかというと少しだけ安堵のそれだ。


「助かります。」
「あれ、素直。」
「正直明日そこまで元気かと問われれば微妙なところなので。」
「そっかぁ。」


彼が嘘をつく時は二つのパターンがある、と私は思う。たとえば、今。これは「嘘つきました」と言わんばかり、そんなこと知ってるしそれを踏まえて提案したけど何か、とかいうそういう嘘のつきかた。
もうひとつは残念ながら分からない、彼の本当の嘘を見抜いたことは一度もない、そういうのは私の役目じゃないから。


「目眩が、すごいんです。」
「ほぉーん。」
「ふらふらーって。」
「大変ですね。」


全くそう思っていない声が脳内で再生されて乾いた笑いが零れた。これ、もう面倒になってるな?と思って目を閉じる。明日ちゃんとありがとうってもう一度伝えよう、ちゃんと口で、伝えよう。


「おやすみ。いつもおつかれさま。」


そんなメッセージが来ていたのは、私が意識を飛ばして30分後くらいの時間だった。



めまい



*
夢小説あるある→メールとかSNSでのやり取りがだいたい声で再生される
志摩くんのマメで優しいところ好きですよ。
でもこれは私の思い描く志摩くんじゃない気がするの。

鶴葉の手控

Vtuberとして、山伏として。 日々忙しい鶴葉のてびかえ。 日記だったり、お話だったり したためていく場所です。

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