Twitterの企画。
#リプした人ほぼ全員夢小説にする
#誰そ彼夢葉書
向けられた背を見て、言いようのない胸の蟠りがうぞうぞと動き出す。口をついてでた言葉を掛けてはみたものの、背中は動かない。
「ごめんなさい、えっと……。」
「なんで、怒ってるか。」
「え?」
「言っても治らない悪癖。」
「……悪癖って。」
「不摂生、溜め込み癖。」
「そ、それは……その、癖(へき)じゃなくて。」
下がっていた首が持ち上がる。不意に体が堅くなる。嫌だな。こういうところ見られるのは。
「少しは頼ってくれとか言いたい訳じゃあないんだよ。」
「……言ってるじゃないですか。」
「あ?」
「……なんでもないです。」
一瞬。
「言わせてくれんなら……言ってやろうか?」
ごめんなさい、とは出なかった。
抑えられた腕、強く打ち付けた頭、ズキズキと痛む胸。前髪で隠れた不健康そうな潤んだ瞳が私を睨んでいた。泣いていた、のだろうか。
「やめてしまえ。」
壁と彼とに挟まれた自分が酷く矮小に見える。でもできたら彼の前では格好をつけたかった。それくらいの見栄をきっと彼も理解してくれる、でも今回はその度が少し過ぎてしまった。だからこそ、私も謝るより何か別の言葉を探してしまう。
「さらしくび、さん……違う、違うんです、そういうこと、言って欲しい訳じゃなくて……。」
「なに?じゃあなんて言って欲しいわけ?」
「やめるな、て……。」
「……。」
ぐっと眉間に皺が寄せられ、私の喉もひゅっと鳴る。哀れ、蛇に見込まれた蛙という表現はこういう時のためにあるのだろう。
そして見つめ合うこと20秒、とうとう我慢が効かなくなった私の目から涙がこぼれた。
「ごめんなさい、ごめんなさい……もうしない、もう、がんばらないから……。」
その冷たい目は怖い。
「そうやって、二週間前もぶっ倒れてなかった?」
「今回は、今回は!ぶっ倒れて、ない!」
「知らないよ、おれが来た時には死にそうな顔してたんだからぶっ倒れてたんだろ。」
「ちがう、ちがいます!」
やれやれと言った様子にさらに涙がこぼれ落ちる。呆れられたくない、離れていって欲しくない。その一心で、隙間に挟まる謝罪が意味もなく零れていく。
「もう、ほんと、辞めて欲しいよ、おれは。」
「いや……。」
「そういうところも含めて、好きなんだけど。でも、何度もそうなるなら、こっちにも手段があるからね、覚えておいてよ。」
真っ直ぐに見つめられて、そしてぽん、と頭に手が乗る。
インターホンが鳴って、ふらふらと導かれるように扉を開けて、驚いた顔のさらしくびさんが立っていた。そこからの記憶は曖昧だ。
ただこの手が置かれたその時に、私は私を取り戻す。
愛憎
*
夢小説あるある→不思議時空
立ち絵あるとやっぱり考えやすいですよね、壁ドンされたら普通に怖くてビビり散らすけど。
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