【Lobotomy Corporation】管理人業楽しいなぁ

Lobotomy Corporationにドハマりした原因はいくつかあり、中でも「やたら記憶に残る職員」というやつを頭の中でコネコネしていました。そんな折に、初日の雇用時に来た職員の髪色と髪型がたまたま何か近しいものを感じたのでポイントを余分に払い初めて「名前の変更」を行いました。
そんな管理人鶴葉と急遽L社に雇用されたZ君のお話。


「いい加減になさい、貴方」
「いくらお前の言葉でも従うつもりは無い」
「もぉおおお、顔周りのE.G.Oギフト拒否し続けるの止めてもらっていいですか!?」

ぎゃいぎゃいと言い合う似た髪色の男女を見ながら他の職員たちはまたか、と通り過ぎるだけだ。彼らには、それをこっそり歴の長い職員に伝えていくことしかできない。そしてそれを聞いた件の職員たちもまた同様にまたか、と溜息をつくのだった。

「……良いのか、止めなくて」
「無理なことが分かっているんだ、力をつく理由は無い」

最古参でもある「神経質な監督」ミカエラに対して、今周における3番目の職員「冷血な捜査官」リバーが念のためと言わんばかりに声を掛ける。しかし、当のリバーを見たミカエラは視線を逸らすことしかできなかった。大量のE.G.Oギフトを抱えているリバーに対して、件の職員にギフトがつきにくいことは古参職員の中では有名な話だ。
件の職員、2番目に職員として雇用された「冷血な追跡調査官」Zは、管理人に近しい存在であり、多少の記憶改ざんやらが発生しており、パーソナリティの確立が他職員より早かった。それが理由かは定かではないが、何故かアブノーマリティの作業時に確立で与えられていると言われているE.G.Oギフトが全く与えられなかった。1番目の職員ミカエラも当初はギフトを与えられるまでに時間を要したが、それでも3番目のリバーが勤務初日に1日で3種類のギフトを集めた翌日には「たった一つの罪と何百もの善」からギフトを与えられた。が、結局Zがギフトを得たのは勤務開始から6日後、情報チーム解放後に脱走対策で作業をしていた「罰鳥」からのブローチが初めてであった。

「そもそも!ステータスの上げ具合としてはカンストしてるのに一生懸命蜘蛛にもおばあちゃんにも饅頭ぐるぐるにも……何度突っ込んだと思っているんですか!あれは顔とかいう問題じゃないでしょう、ただの眼鏡でしょうに!」
「うるさいな、無理矢理氷の女王のこれ付けられたときからずっと嫌だったんだ!それに眼鏡好きなのはお前の趣味だろ、個々の職員目も悪くないのに眼鏡かけすぎてて気持ち悪いんだよ!」
「ち、違います、誤解です!勇気のステータス上げには蜘蛛か饅頭が、自制のステータス上げにはおばあちゃんが……」
「自制は罪善でも血の風呂でも、勇気は殺人者でもなんでも上がるだろうが!」
「マルクトちゃんの抑制終わって職員の基礎ステを上げているんですから、そこらへんじゃ上がりにくいのを貴方は分かっていないんです!」
「るせぇ!こちとらそんな事情も関係なしに命懸けで作業してんだ!」
「なぁ……二人ともそこまでにして、作業を始めないか」
「そうだ、他の職員たちも待っているんだ」

助け船を、と言わんばかりの職員たちの視線に負けたミカエラとリバーが流石に止めに入る。それを聞いた管理人とZは、一度口を噤む。それから似たような作りの顔を見合わせて一度同じタイミングで溜息をつき、顔を逸らす。そして心配そうに眺めていた職員たちに管理人がようやく指示をだす。

「ごめんなさい、配置は昨日同じままで。新規の職員雇用は無し、配置を再確認します。情報チームは魔弾装備のフィンさんお一人で、こちらは問題ありませんか?」
「あぁ、問題ないよ、任せて」
「よろしくお願いします、お一人で対処が厳しい場合は他チームからの応援到達の後、フィンさんは戦線を離脱するようにお願いします。そして教育チームはリバーさん主体でログンさんのギフト付与までお願いします」
「分かった」
「りょーかい、今日は葬儀屋さん、背中のギフトくれっといいけど」
「何度か脱走の可能性も考えられますが、お二人の武器と装備なら問題ないと思いますのでよろしくお願いします。続いて、安全チームはローザさんお一人、これは銀河の子からギフトをもらうことを第一に動いてください」
「はいはーい、て言ってもああいう大人しいことしゃべるの苦手なのよねぇ」
「そこはなんとか……最初の作業以外はどんな作業をしても大きく失敗することはありませんので、頑張っていきましょう、間違っても戦いたいという理由でポーキュバスのところに行かないように。続いて、中央本部第一チームは、ミカエラさんとパーカーさんで、昨日新規収容に至ったアブノーマリティ黒鳥の武器防具の抽出をお願いします」
「了解」
「分かりました、中央本部は昨日と同じくクリフォト暴走が発生する可能性があることは頭にいれておきます」
「よろしくお願いします、黒鳥と同時収容のツールは異界の肖像ですから基本的には黒鳥の作業をミカエラさんが、その他の作業をパーカーさんが補助する形でお願いします、ルドル・タの脱走も不安ではありますが、装備は先ほどお渡ししていますのでしっかりと確認お願いします。そして昨日から来ていただいているマキシムさん、それにZは引き続き、コントロールチームです。マキシムさんは昨日殺人者からのギフトもあり勇気ステータスがカンストしたことを確認したので、本日は罰鳥の管理をお願いします、Zは呼び出しがあればどこにでも駆け付けられるように、特に中央本部まで走ることは念頭に入れておいてください」
「はぁい、了解だよ、管理人」
「……分かりましたよ」
「……蜘蛛の眼鏡つけてたら作業速度とか上がって鎮圧以外も色々任せられるのに」
「おう、なんか言ったか、無能管理人」
「なんでもないですよ、はい、本日もご安全にどうぞ、セフィラの皆さんにちゃんとご挨拶してくださいね」

部屋を出ていく職員たちの背中を見ながら、ひとつ、管理人は溜息を飲み込む。

「ご安全にだなんて無責任なことを……私の指示ひとつなのに」
「それでもあいつらはそれを信用するしかないんだ」
「……まだ、居たんですか」
「最近は指示も安定している、夕暮の試練自体も、緑、深紅と問題なく越えている、残るは琥珀だけだ」
「褒めても貴方に顔周りのE.G.Oギフトをつけることは諦めないですからね」
「……今周でやたらとギフトにこだわる理由は、リバーのステータスを見たから、だろう」
「なっ……ちが、違います、けど?」
「見てれば分かる、俺だけじゃない、ミカエラだって気付いている。職員が死ににくくなるってのはいいもんだし、俺たちだってやりやすくなるのは構わない、けどな……お前、ちゃんとリバーの顔、思い出せるのか」
「……思い、出せます、まだ」
「ほら見ろ、予感的中だ、お前だってそのことに不安を感じている」
「分かったような口を……いえ、分かって、いるんですよね、そりゃそうですよ、貴方は私なんですから」
「悪いがこの氷の女王のギフト以降頭も顔も、どんな有用なギフトでも俺は要らない、他の職員がどうあれ、だ」
「……それでも、貴方には死んでほしくないというわがままは聞いてくれないんですか」
「死なないように管理しろ、死なないようにするから、ただそれだけだ」

振り返った管理人の視線の先でぱたんと扉は閉じられる。そして管理AIの勤務開始を告げる声に呼応するように各セフィラたちの起動音がスピーカーを鳴らす。

「それでは、本日の業務を開始いたします」

世界はゆっくりと黎明を目指す。


管理人Xと職員Z



どう思いますか、このギフトの付き方。

罪善さんも、殺人者も、おばあちゃんも、蜘蛛も、饅頭も、魔弾さんも、なんにも受け付けないんです、この野郎。お前が一番に記憶に残る職員になってどうするんですか、おバカ。
それに引き換え2日目に雇用した、リバーくんが本当に優秀で。

 見て下さい、この、スクショ一枚では撮り切れないほどのギフトの数々、勤務初日、今周2日目にして、罪善さん、罰鳥くん、殺人者のギフトを独り占めしていたのは伊達じゃない。その後慌てたのか最初期職員のミカエラさんもちゃんと罪善さんからギフト貰ってきたというのに、Zくんと来たら……愛おしくなってしまった、くそくやしい。

鶴葉の手控

Vtuberとして、山伏として。 日々忙しい鶴葉のてびかえ。 日記だったり、お話だったり したためていく場所です。

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