アニクロ実況のSSです。
島に来てから数日経ったある日の事だった。暑かったり寒かったりと、流石は島の天気、などと的外れなことを考えながら着込んだレインコートを脱ぎ去った。
照りつける太陽は、虫たちを呼び覚ます。ユーゲンさんに嫌な顔されることは仕方ないながらも、あの博物館に虫ばかり増えていくのは些か思うところがある。とは言え、私の現状ではなかなかどうして、あれこれ情報交換するのが難しいのである。
「っしゃーい、てんとう虫さん、ゲットです。」
次いでに捕まえた2匹目は、ネップとシュレップのお店に持っていくつもりだ。それにしたって、暑い。そういえば広場にきぬよさん、改めティナさんがお洋服を売りに来てくださっていたはずだ。
ローンを組んでいる債務者というポジションであれども、やはり心の潤いというのは大事だ。いや、今潤っているのは私の項ですが。
「Na , Tazuha !」
「でぇはぁ!?びっくりした……こらら……あ、えっと……キャロラインさん。」
ニコニコと楽しげな笑みを浮かべてこちらに駆け寄ってくる様はさながら天使のよう、そんな様子のキャロラインさん、恐らく女の子のコアラさんに私はたじたじになる。如何せん、言葉が通じないのである。
親しげに何事か話しかけてくる彼女に笑顔で相槌を打つことしかできない自分が少しだけ嫌になる。本当は彼らの言葉もちゃんと理解したいのにと勉強不足な自分を責める言葉が浮かんできた。昔は彼らの言葉は理解出来たはずだった。今になってどうして。
「Tazuha ?」
「あ、え……あ、だいじょぶ!OK , あはは……。」
キャロラインさんのら怪訝そうな顔にまずい、とさすがに私も慌てる。適当な相槌がバレて、あれこれ言われても答えられない。適当な単語を並べていくわけにもいかない。どうする、どうする。慌てる私に、キャロラインさんは何やら思いついたような仕草をした。ぴこーん!と傍から見ても電球が見えそうなその仕草に、私は首を傾げる他なかった。
すると、彼女はちょいちょいと私の髪を指さして、それを後ろで束ねる仕草をする。
「……もしかして、暑そうだから、縛ったらどうかという提案をして下さっているのでしょうか?」
私も似たようなジェスチャーで返すと、嬉しそうに花を舞わせて頷いていた。
「あーでも……鏡がなくて。」
そう力なくボヤく。すると、なんだそんなことか、と言わんばかりに携帯、トムノックフォンを取り出すようにキャロラインさんは私を急かす。
言われるがままに取りだして何かを受信した私のトムノックフォンは、鏡のDIY方法とその材料を示していた。
「キャロさん、これ!」
にこにこと笑って、じゃ!と来た時と同じように駆けて離れていくその姿にほっと息をつく。何時からだろう、話が分からないからと少し島民に声をかけるのを躊躇っていたのは。
とにかく帰って髪を結ってみよう。ここ最近はあまり気合を入れることもなかったからやっていなかった。
「そうだ、ポニーテールにしてみましょう。」
しかしこの後、ポニーテールにするための髪ゴムやらヘアスプレーやらを調達するためにトムノックさんのマイルを貯めることになるのはまた別のお話です。
髪を結った日
これからはもっと臆せず
島民にアタックをかけて行こうと
思います。
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